ウルトラトレイルマウントフジ 2023 FUJI はチョウ、シャンが、KAI は⽥村、相原が優勝
富士山麓の静岡県から山梨県にまたがるトレイルを繋ぐコースでウルトラトレイルマウントフジ ULTRA-TRAIL Mt. FUJIが4月21日金曜日から三日間にわたって開催されました。4年ぶりに海外在住の選手も受け入れ、二つのレースに合わせて3,452名(うち海外在住者246名)が参加。2012年に初めて大会を開催して以来、本年は最多参加者数を迎えた大会となりました。
本年は距離164.7km 累積獲得高度6,451mD+の「FUJI」(旧称・UTMF)と距離68.4km 累積獲得高度3,064mD+の「KAI」を開催。表彰台には国内各地から集まった有力選手と中国や韓国から参加した選手が肩を並べました。
2387名が富士山こどもの国(静岡県富士市)をスタートしたFUJIではシャン・フージャオ Fuzhao XIANG(中国)が優勝。2019年の本大会で優勝しているシャンは今回もスタートからフィニッシュまで終始、女子のレースをリード。24時間14分51秒で富士急ハイランド(山梨県富士河口湖町・富士吉田市)にフィニッシュして2度目の勝利を勝ちとりました。前週末に中国で100kmのレースを走って準優勝したばかりでレース後には、「少し疲れが残っていて、途中で眠気に襲われました」と振り返りました。「富士山の自然とボランティアの皆さんが温かく迎えてくださるこの大会が大好きです。今度はKAIも走ってみたい」と笑顔で話しました。続いて準優勝を手にしたのはチェン・ロンロン Rongrong CHEN(中国)でコース後半に順位を上げて25時間28分55秒で完走。「美しい富士山の周りを走るこの大会を走れたことを光栄に思います。」と語りました。大淵千鶴 Chizuru OFUCHI が26時間37分13秒でフィニッシュして3位に続きました。日本人選手で首位の大淵は顕著な成績を挙げた29歳以下の選手に贈られるニューヒーロー賞も受賞しました。
FUJIの男子ではチョウ・ジアジュ Jiaju ZHAO(中国)が落ち着いた走りで先頭を走り続け、19時間35分24秒で優勝。世界トップクラスの実力を富士山麓で発揮しました。レース後には「20時間を目標にしていたが、すぐ後ろに2位の選手が迫っていると知って刺激になった。」と振り返りました。かつてのチームメイトで2019年の本大会で2位となったのち、2021年に中国でのトレイルランニング大会開催中の事故で亡くなったリャン・ジン Jing Liangについては、「今日私がFUJIで勝ったことを彼も天国で喜んでいるでしょう」と思いを語りました。チョウに差を広げられることなく、背中を追い続けた川崎雄哉 Yuya KAWASAKIが19時間54分57秒で準優勝。「スタートしてすぐにチョウ選手の背中は見えなくなりましたが、チャンスはあると信じて追い続けました。チョウ選手の強さを感じました。」と振り返りました。3位をめぐってはこれまでの本大会で活躍してきた選手たちの間で順位が入れ替わり続け、最後には鬼塚智徳 Tomonori ONITSUKAが20時間59分25秒でトップ3に入りました。
昨年に続いて2回目の開催となる69kmのKAIには 807名が出走しました。FUJIのコースの後半部である富士急ハイランドをスタート、フィニッシュとするレースです。女子はコース後半の山岳エリアに入ってから順位を上げた相原千尋 Chihiro AIBARAが8時間46分31秒でレースを制しました。「この大会に参加できたこと、優勝できたことを嬉しく思います。」と表彰式で話しました。2位には若林綾 Aya WAKABAYASHIが9時間14分20秒、3位は徳本順子 Junko TOKUMOTOが9時間18分39秒で続きました。
KAIは上位3選手が順位を入れ替えながらコースを進む展開が続きます。最後の下りで後続の選手との差を広げた田村健人 Kento TAMURAが6時間45分15秒で富士急ハイランドにフィニッシュして優勝しました。昨年の優勝タイムを47分上回る好記録です。田村はニューヒーロー賞もあわせて受賞しました。「来年もKAIに、そして再来年はFUJIに挑戦します」と話しました。3分差の6時間48分23秒で昨年のKAIのチャンピオン、甲斐大貴 Hiroki KAIが準優勝。3位はキム・ジソプ Jisub KIM(韓国)で6時間58分34秒でした。
今回のKAIにはこれまでのウルトラトレイルマウントフジで表彰台に立ったアスリートも海外から参加しました。2018年大会優勝のディラン・ボウマン Dylan BOWMAN(米国)は4位、同年3位のセス・スワンソン Seth SWANSON(米国)は9位、2014年大会3位のマイク・フート Mike FOOTE(米国)は14位で、それぞれ今回のKAIを完走しています。